刑務所を仮釈放で出所する場合は?更生保護施設の生活を詳しく解説

はじめに

刑務所で刑期を全て終えて満期を迎えると晴れて釈放となります。

満期で出所すると保護観察所に出頭する必要性はなくその瞬間から完全なる自由の身となります。

仮釈放で出所する場合はどうでしょうか?

そこでこの記事では、刑務所を仮釈放で出所する場合の生活について、更生保護施設での生活について解説します。

最終更新日:2023年10月2日

仮釈放の条件とは?

刑務所では、仮釈放を希望する受刑者は仮釈放の申請をすることができます。

仮釈放の申請は刑務所へ入所してから一ヶ月程で行われ、ほとんどの受刑者は申請をします。

受刑者の中には仮釈放を希望しない人もいます。希望しない場合は満期願箋を貰い、そこに満期で出所を希望しますと記入して提出します。

これで刑期を全て刑務所で受刑し満期で出所することができます。

仮釈放になるにはいくつかの条件があり、誰でも許可されるわけではありません。

  • 仮釈放の条件
1.帰住地がある
2.身元引き受け人がいる
3.罪を認め反省している
4.懲罰を何回も受けていない
5.有期刑である

以上の条件を全て満たしている受刑者のみが、仮釈放を貰うことが可能となります。

無期懲役の受刑者も無期限の有期刑となる為、理論上は現在でも仮釈放を貰うことは可能となります。

帰住地とは、帰る場所のことです。実家や住んでいた家やマンションがあればそこを帰住地にするのが一般的です。

身元引き受け人とは、受刑者を引き取り、満期までの期間、責任者として観察、生活の援助を行える人のことを言います。

既婚者がいれば既婚者を、独身の場合は両親がいれば父か母のどちらかを身元引き受け人にするのが一般的です。兄弟、姉妹、親戚、会社の社長でも可能です。

意外と周知されてませんが、罪を認め反省の態度が示されてない受刑者は仮釈放の審査会で仮釈放が許可されません。

刑務所で何回も懲罰を受けると、仮釈放の審査会で仮釈放が許可されない場合もあります。

懲罰が1回程度で戒告などの軽微な場合は大丈夫ですが、誰かを殴って怪我をさせた場合、軽微な懲罰でも何回も受けてしまうと仮釈放が難しくなります。

帰住居がなく身元引き受け人もいない場合は?

ホームレス生活を送っており帰住居がなく、身元引き受け人がいない場合なども多々あります。

帰住地があり両親が身元引き受け人になると言っても、調査員の保護司や保護観察員の判断で認められないケースもあります。

その場合は、全国各地にある更生保護施設を帰住地にすれば仮釈放の申請がおこなえます。

身元引き受け人は更生保護施設の所長が受け持ちます。

更生保護施設を希望する場合は、刑務所に提出する用紙に、希望する都道府県を書いて提出するだけで完了します。面倒な手続きは一切ありません。

更生保護施設を希望する受刑者のほとんどが、地元の都道府県か東京都を希望してます。

都道府県は、第3希望まで選ぶことができます。

どこどこの更生保護施設に行きたいと言っても無理で、希望できるのは都道府県のみです。

その都道府県から保護観察所の職員が空き状況などを考慮して、どこの更生保護施設かを最終的に決定します。

仮釈放で出所する場合の生活

仮釈放の場合は、出所したらその日の内に、帰住地がある都道府県の保護観察所に必ず出頭しなければなりません。

出頭しないと仮釈放は問答無用で取消しとなり、失踪して見つからない場合は指名手配され、捕まれば再度刑務所へ収監されます。

逃げてる間は刑の執行が停止するので、仮に5年後に見つかればそこから再度仮釈放分の刑期を一から刑務所でやり直すことになります。

仮釈放中は必ず遵守事項があります。遵守事項は刑罰の内容や受刑者によって異なり、遵守事項の中には仕事をすることなどがあります。

遵守事項に違反すると仮釈放が取消しとなる場合もあり、取消しとなった場合は仮釈放分の刑期を一から刑務所でやり直すことになります。

仮釈放中は一ヶ月に1回程度、保護観察所から出頭要請の通知が来て、出頭して生活状況などを報告する義務があります。

給料明細の提出義務などはありません。あくまでも生活状況を聞くだけです。

薬物で捕まった受刑者は、不定期に保護観察所にて薬物検査の実施があることもあります。

仮釈放中は遵守事項を守り健全な生活を送ります。そして満期の日を迎えたら晴れて一般人となります。

更生保護施設の生活はどんな感じ?

更生保護施設とは、帰住地がなく身元引き受け人もいない受刑者の為に用意された法務省が認可している更生施設です。

更生保護施設には所長と保護司らが居て、仮釈放中の期間のみ、衣食住など全ての面倒を無料でみてくれます。

更生保護施設にいられる期間は原則6ヵ月以内と決まりがありますが、施設や事情によっては最大6ヵ月間の延長が可能です。

各地の更生保護施設の定員は20名程です。

仮釈放中の受刑者が圧倒的に多く、執行猶予中で身寄りがない人や警察に保護された人などが共同生活を送ってます。

部屋は相部屋の施設もあれば一人部屋の施設もあります。持病があったり神経質などでどうしても一人部屋を希望する人には、事情によっては一人部屋が与えられることもあります。

更生保護施設での生活には遵守事項とは別に決まりがあります。

決まりごとを破ると施設を退去させられることもあるので、仮釈放中の人は、場合によっては再度刑務所へ戻ることになり満期まで受刑生活を送ることになります。

更生保護施設での起床時間は朝6時です。

掃除当番の日は起床してから15〜30分程施設内外の掃除をおこないます。

一人で全ての掃除をおこなうわけではなく、ゴミ出しをする人、食堂の掃除をする人、廊下などに掃除機をかける人、風呂場を掃除する人、トイレ掃除をする人のように、一週間のローテーションで分担しておこないます。

朝食と夕食は毎日無料で提供され、朝食は6時30分〜8時までに食堂で食べます。

施設が提供する食事は食べないで、自分で弁当などを購入して食べることもできます。

更生保護施設に入所した人は原則仕事をしなくてはなりません。仕事が決まってない人は仕事探しから始まります。

仕事はバイトでも正社員でも派遣でも、日払いや週払いでも特に決まりはありませんが、どこで仕事をしてるのかを必ず報告する義務があります。

仕事は日中でも夜勤でもどちらでも可能です。コンビニなどの夜勤で働く人は、外泊届けを毎回書いて提出してから仕事へ行くことになります。

いつまでに仕事を決めなければならないという決まりはありません。なかなか決まらない人も実際にいます。仕事を探してさえいれば特に問題はありません。

自力でどうしても決まらない場合は、保護司が仕事を紹介してくれたり色々協力してくれます。

昼食は出ないので、希望する人には一日600円程の現金が毎日支給されます。

このお金は法務省から支援金として提供されているお金なので誰でも貰えます

仮にこのお金を貰わなければ一ヶ月に1回、使用しなかった金額をまとめて現金支給されます。

手持ちのお金がない人は交通費などを施設で借りることも可能です。就活や仕事探しで交通費が必要な場合は返す必要はありません。

仕事探しでスマホが必要だけどお金がない人にはそのお金を借りて購入することも可能です。

着る服やズボンなど着替えがない人は、施設が用意してる衣類を無料で貰えます。

夕食は夜18時〜20時までで食堂で食べます。メニューは日替りで施設に勤務する職員や栄養士の方が作ってくれます。

施設が提供する夕食が必要ない人は、外で食べてきたり好きな物を購入して部屋の中で食べることもできます。

風呂は毎日入れます。

入浴時間は施設によって違いはありますが、夜18時〜20時30分までと時間が決まってます。朝の時間帯に風呂に入れる施設もあります。

洗濯は施設内に洗濯機があるので自分の物は自分で洗濯します。乾燥機も設備されてますが、乾燥機のみコインランドリーのような有料の施設もあります。

消灯時間は夜22時です。

寝なくても大丈夫ですが電気は落とされます。テレビも夜22時以降は年末年始を除き観れなくなります。

更生保護施設では門限もあります。

外泊届けを出してない場合は、夜21時までに必ず施設へ戻らなくてはなりません。連絡なしで無断外泊をすると一発で退去となることもあるので注意が必要です。

交通事情などでどうしても門限までに帰れない場合、外泊が必要になった場合は必ず施設に電話を入れます。報告をすれば退去にはなりません。

施設内での飲酒は厳禁です。

職員に見つかれば退去となることもありますが、初回に限り注意だけで終わることもあります。

タバコはどこの施設も吸えますが部屋では吸えない施設もあります。

食堂が喫煙所だったり、バレないように部屋で吸ったりベランダで吸ったりしてる人もいます。

入所者同士のお金の貸し借りも厳禁です。

お金の貸し借りは意外と多くトラブルの原因にもなりますので貸してと言われても断りましょう。

更生保護施設では土日の週に1回、入居者を集めてのミーティングなどをおこなう施設もあります。

仕事がある人や用事がある人は出なくても大丈夫ですが、何も予定がない人は原則出なければなりません。

講演者を呼んで一時間程度お話を聞いたり時には食事会なども行われます。

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まとめ

仮釈放中は少なからず行動に制限はありますが、刑務所で過ごすよりは遥かに有意義なものとなります。

一日も早く社会復帰できるよう仕事をすることが何よりも大事です。

仕事をしないと再犯の恐れも高くなるのが現実で、仕事をしてる人としてない人では再犯の可能性も大きく変わります。

仕事をしてない人が再度刑務所に入る確率は50%前後あるというデータが実際に出てます。

仮釈放中は仕事を探し、一日も早く社会復帰できるよう頑張りましょう。
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