刑務所で仮釈放はどのくらい貰えるのか解説!無期懲役の場合は?

はじめに

刑務所内では受刑者同士が仮釈放についてよく話をしてます。一日も早く出たいので気になるのでしょう。

実刑判決で有期刑の場合、刑務所では満期前に仮釈放を貰うことが可能です。無期懲役の場合は貰えるのでしょうか?

そこでこの記事では、刑務所で仮釈放はどのくらい貰えるのか解説します。

最終更新日:2023年10月3日

仮釈放は3ヶ月〜1年程度が相場

懲役10年の受刑者が仮釈放を3年貰えたなんて噂話を聞いたことがありますが本当なのでしょうか?

結論から言えば可能性はゼロではありませんが、懲役10年の受刑者が100人いたとしたら、仮釈放が3年貰えるのは全体の0.1%あるかないかの確率で基本的にはあり得ません

懲役10年で仮釈放が3年貰えるということは刑期の1/3に値します。

しかしながら、実際に刑期の1/3の仮釈放を貰うことは刑務所ではそこそこあります。

それなら懲役10年の受刑者が3年の仮釈放を貰ってもおかしくない話ですよね。

矛盾してるように思われますが、この矛盾こそが懲役10年でも仮釈放が3年貰えたという噂話が広まってしまったと推測できます。

刑務所で働くお偉いさんの話では、仮釈放は最高でも1年6ヵ月くらいでほとんどの受刑者は3ヵ月〜1年が相場だそうです。

最高の1年6ヵ月も、同じ刑務所に1000人の受刑者がいたとしたら10人程度の割合。全体の1%の受刑者に値しますので極めて稀なケースです。

仮釈放が1年貰える受刑者は全体の20%程度で、3ヵ月〜6ヵ月が全体の60%程度を占めます。

刑務所には懲役3年以下の受刑者が多く居て、懲役3年の受刑者が仮釈放を1年貰うことはそこそこあります。

その為、仮釈放は懲役10年でも1/3の3年貰えるという勘違いが生じたのでしょう。

仮釈放が多く貰える工場がある

仮釈放は3ヵ月〜1年程度貰えるのが相場です。

だいぶ開きがありますがこの差は何でかと言えば、工場によっては仮釈放が多く貰える所もあります。

生産工場では3ヵ月〜6ヵ月が相場ですが、経理工場では仮釈放を6ヵ月〜1年貰うことが多いです。

その理由は、生産工場は免業日(休日)がカレンダー通りで土日祝は工場が休みです。

衛生係、内装なんかの経理工場では配食の仕事が毎日あったり、水場は毎日受刑者の食事を作るので完全な免業日がローテーションで月に1〜2回しかありません。

免業日が少ない分それだけ働くわけなので、一般の生産工場よりは仮釈放の貰える日数も多くなる傾向にあります。

更生保護施設に行く場合も仮釈放が貰える

仮釈放は更生保護施設に入所希望する受刑者も貰えます。

意外と受刑者の間でも知らない人がいますが、更生保護施設の場合は仮釈放が最大6ヶ月という決まりがあります。

更生保護施設は原則、最長6ヶ月までしかいられません。その為、更生保護施設に入居する場合は仮釈放が6ヵ月までしか貰えないのです。

仮釈放を希望する懲役20年の受刑者が更生保護施設を希望する場合、最大でも6ヵ月しか仮釈放が貰えないことになります。

無期懲役の受刑者は仮釈放は貰える?

無期懲役でも仮釈放は理論上は貰えます。終身刑ではなく無期懲役なので仮釈放を申請することが可能なのです。

現在、有期刑の最長は懲役30年です。

有期刑と無期懲役を比較した場合、有期刑のが刑期的には軽くなるので、無期懲役の場合は最低でも30年以上は受刑生活を送ることになります。

しかしながら、無期懲役の受刑者には高い壁がいくつもありその壁を全て乗り越えた先にようやく仮釈放という3文字が見えてきます。

その高い壁とは帰住地身元引き受け人です。

仮釈放の条件には、帰住地があること、身元引き受け人がいること、罪を認め反省していること、懲罰を何度も受けてないこと、有期刑であることの5項目があります。

この全てを満たしていないと仮釈放は貰えません。

無期懲役の受刑者は生命犯です。それも悪質性の極めて高い犯罪者であり、受刑者の家族は息子、娘であろうと縁を切ることも普通にあり得ます。

ニュースで報道されて受刑者の家族は地元には居られなくなり引越しをするケースも多々あります。

そのまま受刑者と連絡を断てば、無期懲役の受刑者は家族がどこにいるのかも分からなくなります。

仮釈放を申請しようと思っても、家族がどこにいるのかわからないので帰住地が書けないし身元引き受け人のお願いもできません。

このケースが圧倒的に多いので、ほとんどの無期懲役の受刑者は仮釈放の申請すらできないのが真実です。

仮にこの高い壁を乗り越えて奇跡的に家族と手紙のやり取りを永続し、帰住地の件、身元引き受け人の件がクリアできたとしても更なる高い壁があります。

仮釈放はあくまでも仮の釈放です。

刑罰は満期を向かえるまで仮釈放中も続いてます。無期懲役は期限なしの懲役刑なので、実質的には生涯満期を向かえることはほとんどなく、無期懲役の受刑者は一生刑罰が続くことになります。

その為、更生保護施設を帰住地にすることはできなくなります

更生保護施設は原則6ヵ月までしかいられませんのでいずれは出ていかなくてはならず、そうなると刑務所へ戻る以外方法はなくなります。

帰住地が家族の家だとしても、親が亡くなったりしたら身元引き受け人はいなくなります。

身元引き受け人は受刑者の監督責任も生じます。そうなると受刑者は再度刑務所へ戻ることになります。

無期懲役の受刑者が30歳で犯罪を犯したとしたら、60歳以上にならないと仮釈放の申請ができません。

受刑者が60歳だとしたら親は80歳以上でしょう。親がすでに亡くなってる可能性もあるし高齢者なのであと何年生きれるかもわかりません。

親がいなくなれば再度刑務所へ戻ることになる。そう考えるとめちゃくちゃ仮釈放の壁は高いと思いませんか?

こういったことを当然ですが仮釈放を審査する保護観察官も考えるわけです。

仮釈放を許可しても逃亡の恐れもあるし、再度犯罪を犯す可能性もある、みずからの命を断つ可能性もあります。

それ故に総合的に考えた場合現実は相当厳しく、無期懲役の受刑者の99%以上は獄中で生涯を終えることになります。

これが無期懲役の受刑者の真実です。

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まとめ

仮釈放を多く貰いたい受刑者は経理工場へ配役になれば、最大で1年程度の仮釈放は現実的に貰えます。

経理工場で懲役2〜3年の受刑者は、全体の8割が最低6ヵ月は貰えますので4ピンは固いです。

刑務所の用語で、仮釈放が刑期の1/4貰えることを4ピン、1/3貰えることを3ピンと言います。

無期懲役の受刑者が仮釈放を貰うことは、現実的には厳しい状況だと少しは理解していただけかと思います。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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